労働者派遣事業の任意監査と合意された手続の違いとは|労働者派遣事業の許可申請ならアクシス綜合会計事務所

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コラム

労働者派遣事業の任意監査と合意された手続の違いとは

申請内容との関係を理解しよう

労働者派遣事業及び有料職業紹介事業の許可申請において、事業主は一定の資産要件を満たしていなければなりません。
この資産要件の具備については、前年度に税務署へ提出した決算書において判断されますが、もし前年度決算書において資産要件を具備していない場合には、事業主は当期中に増資等を行う事によって資産要件を満たす手立てを講じる必要があります。
当期中に晴れて資産要件を満たすと、事業主はその後の任意の月で仮決算を行い、仮決算書を作成の上、これを労働局に提出する事になります。
労働局ではこの仮決算書によって、許可申請の事業主が労働者派遣事業及び有料職業紹介事業を営むに当たって財産的基礎を有している事を確認するわけです。
さて、ここで提出される仮決算書は、許可申請を行う事業主自身が作成したものです。
そのため、この決算書について誰のチェックもかかっていないと、労働局としてもこれを信頼して利用する事が出来ません。
そこで、この仮決算書に対して事業主と利害関係のない公認会計士によりチェックを行う仕組みが導入されました。
ここで、公認会計士によるチェックとしては、「任意監査」と「合意された手続」の2種類があります。
これらの違いの前に、どの様な状況において、どちらのチェックが必要となるか整理しましょう。
まず「任意監査」ですが、これは労働者派遣事業及び有料職業紹介事業の新規申請、及び更新申請において行われるものとなります。
また「合意された手続」ですが、これは労働者派遣事業及び有料職業紹介事業の更新申請のみにおいて行われるものとなります。
この制度についてご存知の方は、もしかしたら更新申請の時は「合意された手続」のみなのではなのか?と思うかもしれません。
実際に「合意された手続」が行われるのは更新申請においてのみであるためそう思われる方が多いのですが、ルール上、原則として「任意監査」が実施され、容認規程として「合意された手続」による報告書でもよいとされています。(「合意された手続」の容認規程は経過措置として認められているものであり、現状においては終了時期も明示されておりません。)
従って、労働者派遣事業及び有料職業紹介事業ともに、新規申請については「任意監査」の適用のみとなる一方で、更新申請については「任意監査」と「合意された手続」の選択適用が事業主側に認められているのです。

作業内容と監査証明書の内容に大きな違い

では、「任意監査」と「合意された手続」は具体的に何が違うのでしょうか。
左記に申し上げると、大きな違いは、公認会計士が実施するチェックの内容と報告書の記載内容となります。
まず、チェックの内容について説明します。
「任意監査」は「監査」とされています。
「監査」とは、公認会計士が一定の監査基準に則って実施した手続の結果、監査の対象となる決算書が適正に作成されているか否かについて「保証」する業務の事を言います。
ここで実施するチェックの内容(監査では「監査手続」といいます)は、公認会計士が監査基準に則って独自に定めます。
また、監査報告書(いわゆる監査証明書)においては、監査基準に従って監査を実施した結果、決算書が会計基準に準拠して適正に作成されていると認める旨の意見(これを監査意見といいます)を表明する事になります。
一方「合意された手続」は監査ではないため、公認会計士から決算書が適正である事の保証は提供されません。
「合意された手続」は、事業主側と公認会計士の間で「どの様な手続を何件やるか」について合意し、それ通りに作業をした結果を報告書に記載するものとなります。
監査の様に公認会計士から決算書に対する保証が提供されないため、決算書に問題があるか否かについては、読み手側である労働局等にゆだねられる事になります。
では、「任意監査」と「合意された手続」について、労働者派遣事業及び有料職業紹介事業の許可申請における長所と短所について、まとめてみましょう。
まず「任意監査」についてですが、この長所は、監査報告書の添付によって公認会計士から決算書が適正である事のお墨付きをもらう事ができる点になります。(公認会計士側では、決算書が会計基準に準拠して適正に作成されている事を確認できるレベルでの監査手続が必要となります。)
一方、短所については、合意された手続に比べ時間と工数が掛かる事が挙げられます。
任意監査の場合、決算書全体をチェックの対象とするため、チェックする項目も合意された手続よりも多くなり、また監査報告書を発行するまでのプロセス(別の公認会計士による審査など)も増えます。
そのため、監査に必要となる日数や費用が大きくなる傾向にあります。
但し、これは会社の規模や財務状況によるところが大きいです。
例えば、設立間もない会社やあまり資産や負債などを持たずに単一の事業を行っている様な比較的シンプルな会社においては、決算書の内容が少ない事から、合意された手続と任意監査においてチェックする項目も近しくなることがあります。
一方で、複数のビジネスを行っている会社や資産・負債項目が多い会社などにおいては、両者で工数に差異が生じる事が通常です。
次に「合意された手続」の長所ですが、これは任意監査の裏返しで、工数や期間が少ない事が挙げられます。
特に労働者派遣事業及び有料職業紹介事業の許可申請においては、貸借対照表において資産要件を判断する事から、貸借対照表科目に対して手続を行う事となり、工数もその分少なくなります。
一方で短所としては、公認会計士からの保証が提供されない点になります。
決算書の信頼性に対する判断は読み手側に委ねられますので、労働局側の独自判断により、合意された手続の内容や結果について、問い合わせ又は差戻しなどが生じる可能性はゼロではありません。
労働者派遣事業及び有料職業紹介事業の更新申請においては、上記の長所・短所を考慮の上、「任意監査」と「合意された手続」のいずれを選択するかについて決定頂ければと思います。
その際には、公認会計士と事前に相談し、仮決算書の内容からどちらのチェックがより適切かアドバイスをもらう事で、適切な判断が可能になるものと思います。




まとめ
以上より、任意監査と合意された手続の違いは以下の通りとなります。
任意監査と合意された手続の違いは3つ
① 「任意監査」は新規申請・更新申請において利用可能である一方、「合意された手続」は更新申請においてのみ利用可能である。
② 「任意監査」は決算書の適正性に対する公認会計士からの保証がある一方、「合意された手続」には保証はなく決算書の適正性については読み手側が判断する。
③ 「任意監査」は決算書全体をチェックするため一定の工数が掛かるが、「合意された手続」は決算書の一部のみをチェックするため任意監査に比べて工数は少なくなる傾向にある。

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